2019.11.19

ヘパリン類似物質の基礎知識

ヘパリン類似物質油性クリームの「油性クリーム」ってなに?

ドラッグストアなどで買えるヘパリン類似物質を配合した医薬品の保湿クリームは、有効成分が同じでも、クリームの種類は様々です。
最近、ドラッグストアにも並ぶようになった「油性クリーム」とは、どのようなものなのでしょうか?他のクリームと何がちがうのでしょうか?
「油性クリーム」の性質や構造について説明します。

1. 油性クリームってなに?

1.1 油性クリームの特徴は?

一般的にクリームは「油性クリーム」と「水性クリーム」に分類できます。
油性クリームは「油」の性質を持つクリームのため、こってりと厚みがある感触で水で洗っても簡単には落ちません。

1.2 水性クリームの特徴は?

水性クリームは基本的に「水」の性質を持つクリームのため、伸びやすく、さっぱりした感触で、水で洗うことが出来ます。

1.3 適切に使い分けましょう

油性クリームは伸びがあまりよくないですが、水性クリームと比べてカバー力や保湿力が非常に高いので、医薬品の場合はどちらかというと局所の疾患に適しています。
水性クリームは軽い感触ですが患部をカバーする力や保湿力は小さいので、医薬品の場合は広範囲の疾患に適しています。
医薬品の保湿クリームを使用する際には、疾患の状態に合わせて適切な種類のクリームを使いわけることが重要です。

 

2. そもそもクリームってなに?

2.1 クリームは「水」と「油」を混ぜたもの

「クリーム」を構成する成分は「水」と「油」の2つです。水と油をよく混ぜたものをクリームと呼びます。
水と油の関係とよく言うように水と油は基本的には混ざりません。とても相性の悪い成分どうしです。

クリームの構成

たとえばサラダにかけるドレッシングも水と油から構成されています。ドレッシングを一生懸命振り混ぜても、結局また分かれてしまいます。

 

2.2 仲介役は「乳化剤」

それではなぜ、クリームは水と油に分かれないのでしょうか?
クリームには水と油の関係を仲介してくれる、「乳化剤」という成分が入っています。
乳化剤には色々な呼び方があり、「活性剤」「界面活性剤」などと呼ぶこともあります。
乳化剤は、「水と相性の良い部分(=親水基)」「油と相性の良い部分(=親油基)」の2
つを持っています。

この親水基と親油基が、それぞれ「水」「油」と手を結ぶことで、仲介役として働きます。仲の良くなった「水と油と乳化剤」は他の「水と油と乳化剤」と球の形をした集合体(=乳
化粒子)
を作ります。

このように、球形集合体が、均一に安定的に混ざりあっているものをクリームと呼びます。ちなみに「乳化物」「エマルジョン」という言葉もありますが、基本的に「クリーム」と同じ意味です。

 

2.3乳化剤とクリームの種類

乳化剤にも色々な種類があります。親水基が大きいもの、小さいもの。親油基が短いもの、長いもの。親油基が一本のもの、数本のものなどそれぞれ性質がことなります。
たとえば下記のイラストのように、親水基が大きくて、親油基が短い乳化剤は油を内側、水を外側に閉じ込めるときに適しています。

反対に親水基が小さく、親油基が長いもしくは数本持っている乳化剤を使用すると、水を内側、油を外側に閉じ込めるときに適しています。

このように、油を内側(=内相)、水を外側(=連続相)に閉じ込めたクリームの事を「水性クリーム」「O/Wクリーム」と呼びます。
また、水を内側、油を外側に閉じ込めたクリームの事を「油性クリーム」または「W/Oクリーム」と呼びます。

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へパペディア 編集部

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